野球はコミュニケーションで勝つスポーツ
今日、高校野球をテレビで見た。
第99回埼玉県大会決勝
花咲徳栄 対 浦和学院
【5回裏】
浦和学院がノーアウトからツーベースヒットを打つと、花咲徳栄のピッチャーは急に調子を崩していた。フォアボールに、デットボール、そして満塁にしてしまう。ピッチャーは明らかに、心理的に動揺している。
そこで思ったんだけど、野球もコミュニケーションの世界だなって。
野球は頭脳戦だと、名将、野村克也も語ってる。
頭脳戦で求められるのは相手の心理を読む力。これってコミュニケーション能力じゃない?
多くの人はコミュニケーション能力って聞くと、伝え方や話の展開の仕方ばかりを気にするけど、それって正確じゃないと思うんだよね。
野球って勝敗がつく競技だから、勝つために必要なのは選手個々の野球技術だけだと思ってる人って多いけど、それ大間違いでしょー。
相手の心理を読み取る技術、相手の心理を動揺させる技術、動揺している仲間を正常に戻す技術、ここぞという時にチーム全体を鼓舞する技術、いろんな技術が求められるんだけど、それ全部コミュニケーション能力じゃない?
ヒット1本打たれると、調子を崩すピッチャー。足の速い走者を出すと動揺するピッチャー。ピッチャーが動揺している時、キャッチャーがマウンドに上がって鼓舞しているシーンを、見たことあるんじゃない?
まあ、全ての投手に共通してるのは、力むと球が高く浮く、ってことかな。
力むと?
つまり、心理的な動揺だよね。
高度なコミュニケーション能力が求められるスポーツだなって思った。
それとは反対にピンチに強いピッチャーもいて、打たれると急に調子を上げるタイプとか。そういう時に、ピッチャーを鼓舞しようとするのは逆効果だよね。迷惑に感じて調子を落としちゃうかもしれないし。
調子のいい時は、そのまま放っておきゃいいんだよ。
うるせーな
邪魔すんなよ
って思ってるよ、きっと。ほっとけ、ほっとけ。
バッターに関しては全選手に共通しているのはノーボール、ツーストライクでのバッターの打率ね。一流とされる3割バッターでも、このカウントでの打率は急激に落ちる。急激に、ね。このカウントでは1割台も珍しくないし、追い込まれるとバッターって心理的に動揺してるよね。
このへんはデータである程度、予測することができるけど、たとえば、ピッチャーに関してはランナーを出した時の被安打率、与四死球。バッターに関してはカウント別での打率とかね。これが野村さんの提唱したデータ分析を基に作戦を立てるID野球。今では野球界の常識になってるけど、ちょっとズレてるかなっておれは思ってる。
日本人って、ガリ勉タイプが多いから、数字とか、データとか、目に見えるものしか信じないってところが原因かなって思う。
人間の難しいところって、データで測ることのできない状況が数多く存在することなんだよね。
前日に、恋人とケンカしたとか、試合前に監督に怒られたとか、そういう時はデータとは違う結果が出やすいはず。そういう時の心理状態って本人しか知らないからね。
あるいは、これはピッチャーの話だけど、前回対戦したバッターにデッドボール与えて怒鳴られて、でも
しょうーがねーだろ
わざとじゃねーし
なんてピッチャーが思ってたら、次に対戦する時は、完膚なきまで叩き潰そうと投球スタイルが変わるかもしれない。
そういうのはデータじゃ計れないんだよね。
なにで判断するかって、求められるのはEQ。「心の知能指数」って呼ばれている心理学用語だけど、つまりコミュニケーション能力。
何を考えているかなんて本人にしかわからないし、本人だって実は何を考えているかわかっていない時だってある。
そういう時に、相手のちょっとした仕草や、顔の表情、クセがいつもと違っていたら、それは何かいつもと違う心理状態にあるかもしれないから、そういう時に、データばかりを鵜呑みにしていると痛い目に合う。
だから、名キャッチャーって、コミュニケーション能力の高い人が多いでしょ?古田敦也、谷繁元信、野村克也、達川光男、里崎智也、田淵幸一、矢野輝弘、阿部慎之助、みんな、おもしろい人ばかりでしょ。
ま、とにかく、野球では、こういったコミュニケーション能力が常に求められるってこと。 今日、気づいたんだけどね。
野球の醍醐味がその心理戦だと思う。でも、テレビで見てても、そのへんあんまり伝わってこないんだよね。できるなら、バックネット裏の近い距離で観戦したい。うーん、なんか、おれちょっと変態かもなw
これ、読んだけど、おもしろかったよ。
これも、載せとく。でも、どうかな。ちょっと難しい本だから読みにくい。
おしまい。